MaaSへのAWS活用からAIとの付き合い方まで!モビリティの祭典を現地レポート #MT2019
2019年11月15日に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された日本最大級の共創型モビリティカンファレンス「Mobility Transformation Conference 2019」のゴキゲンな現地レポートをお届けします。
Mobility Transformation Conferenceとは
業界や企業の垣根を超えて移動の進化を体感できる共創型のカンファレンスで、クルマと掛け合わせる形でAIや5Gなどの技術がこれからどう活用されていくかを占うような展示やセッションが楽しめます。
30名以上のスピーカーに20以上のセッション、1,000名以上の参加者が見込まれる、色んな意味でリッチなイベントでございました。
AI活用はセレンディピティのコントロールから
最初に参加した「プロに聞く、モビリティ社会におけるコミュニケーションの変化」というセッションでは、「やっちゃえ日産」などのCM制作を手掛けたThe Breakthrough Company GOの三浦崇宏氏、TikTok社の鈴木瑛氏、博報堂ケトル社の太田郁子氏が登壇。
自動運転やコネクティッドカーが当たり前になるこれからの社会のコミュニケーションについて幅広くディスカッションしました。独断と偏見で特に面白かった部分を以下に紹介します。
- 車が大きなスマホのような機能を持ち、デジタルマーケティングのデータとして血圧などの生体情報があがってくるのではないかといった未来予測
- AIがアルゴリズムで色々なものをおすすめしてきて便利な反面、気持ち悪い面もあり突き詰めると映画マトリックスの世界になる
- だから、セレンディピティを自分でコントロールするのが大事(ニュースアプリで芸能ニュースを見たら芸能ニュースばかり表示される→あえて見ないようにするなど)
最後にはAIによってつくられたセレンディピティの話になり、「広告をどうコントロールするか、人間がどう生きるかが大事」という結論に。技術の発達によって人間の主体性が問われてくるという、当たり前と深淵を足して2で割ったようなエンディングを迎えたのです。
なぜサブスクリプション契約のダウングレードを提案するのか
続いてのセッションは、「所有から利用へ、変わるクルマとの付き合い方」。映像ストリーミング配信サービスのNetflixやデジタル音楽配信サービスのSpotifyなどと同様に、クルマもサブスクリプションで提供されるようになっていくのかが一つの大きなテーマでした。個人的に4人いらした登壇者の中では、サブスクリプションのビジネスを支援するZuora Japan社の桑野社長の発言を特に興味深く聞いています。
桑野氏は、解約でLTV(生涯顧客価値)を下げないためにサブスクリプションのプランをダウングレードする提案も行うと述べていました。例えばスマートフォンの通信量10GBのプランで5GBしか使っていないユーザーを見つけたら、解約される前に3GBや5GBのプランを作って売る。解約さえされなければ、その後も時間と金額の掛け算で収益化のチャンスが広がっているという考え方です。
B2Bで定額制のビジネスを回す会社のマーケ部門にいる人間としては、恥ずかしながらプランのアップグレードしか頭になく、新鮮な驚きを感じました。
ウサイン・ボルトのアサインは突然に
無知な私がサブスクの奥深さに舌を巻いて、セッションが終わります。すると、間髪入れずにスペシャルゲスト来場の告知が。なんと、あの"世界最速の男”ウサイン・ボルト氏がサプライズで別会場に現れたというではありませんか!
思わぬチャンスの到来につい鼻息を荒くしつつ現場に向かい、黒山の人だかりをかき分けた先には、確かに世界最速みをかもし出すスポーツ界の巨人が…お分かりいただけただろうか?
下記の参考記事によれば、ボルト氏は次世代モビリティサービスを展開する「ボルト モビリティ社」の事業展開を発表する目的で来日したとのこと。世界的スターによるサプライズは、まさにワールド・レコードを更新する勢いで本イベントNo.1のトピックに躍り出ました。 *1
100m走で9.58秒、200m走で19.19秒という、いずれも驚異的な世界記録を持つ世界最速の男、ウサイン・ボルトが緊急来日を果たした。目的は、自身が共同創設者として名を連ねる「ボルト モビリティ社」の電動キックボードおよび電動モビリティサービスの日本における事業展開を発表するため。合わせて、東京オリンピックに向けて日本人スプリンターへもエールを送った。
ウサイン・ボルト緊急来日! 世界最速の男が提案する次世代モビリティを披露「BOLT Mobility 電動キックボード」
令和元年は5G元年!2020年3月の上陸が迫る
彗星のごとく現れたウサイン・ボルト氏。彼の登場でところてんのように押し出され、40分後ろ倒しで始まったのが「5Gで変わる都市と移動の未来」のセッションでした。
KDDI社の5G・IoTサービス企画部 グループリーダーの武内康知氏が5Gの活用事例を紹介。そして世界経済フォーラム第四次産業革命日本センターの川崎雅史氏が、地方の公共交通支援の観点から意見を述べました。本記事では武内氏の発言に注目します。
武内氏は、KDDI社が想定する5G活用事例として今後ベテラン作業員が減っていく建機の遠隔操作や、タブレットを使って自由に視点を設定できるスポーツ中継などを挙げています。いよいよ2020年3月から大手キャリア3社と楽天モバイルは、合計4万局超の5G基地局を展開するそう。武内氏は「来年の3月からは『(各社5Gの)速度を比べてみた』とかが始まっていくと思います」と具体的な予測を披露していました。
武内氏は本記事の最初に紹介したセッションでも語られていた、5GとIoTによる収集データの多様化についても言及。店舗内のヒートマップをGPUで解析し、センサーとAIの組み合わせでお客様の感情をデータとして循環することでエンゲージメントが深化していく未来を見ています。
AWSがLTでMaaS基盤への活用をアピール
5G元年のイメージが具体化したところでセッションが終わり、私はLT会場に向かいました。クラスメソッドで技術支援をしているAWSの担当者によるLTがあったからです。
AWSは数多くのマイクロサービスを組み合わせることで柔軟なシステム構築を可能にするプラットフォームで、MaaS基盤に求められる拡張性や安全性にも優れているとのこと。
さて。ここだけはギンギラギンにさりげない宣伝なのですが、MaaS基盤としてAWSをお使いの際はAWS技術支援で1,300件以上の実績があるクラスメソッドにご相談ください!!!
AWS総合支援サービス「クラスメソッドメンバーズ」
ハーレーにまたがり帰路につく
「サブリミナルな自社アピールも終えたことだし、さてどうやって帰ろうか」と思ったところで、なぜかLT会場のちょうど良いところにハーレー・ダビットソンが。
記念撮影用にディスプレイされており、残念ながら来場者用プレゼントではなかったので、私はハーレーにまたがり(その後普通に電車で)帰路につきましたとさ。
脚注
- なぜ参考記事だけなのかというと、緊急来日を裏付けるかのように日本語通訳もなくセッション情報も見当たらない感じだったため、スピーカーの英語をあんまり聞き取れませんでした。全力の五体投地で謝罪しておきます。 ↩